債務控除の概要
相続(相続人に対する遺贈を含む)又は包括遺贈により財産を取得した者※1、2が無制限納税義務者※3である場合においては、相続又は遺贈により取得した財産※4の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除します(相法13①④)。
① 被相続人の債務※5で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)
② 被相続人に係る葬式費用
③ 特別寄与者に係る課税価格に算入した特別寄与料(相法13④)
また、相続(相続人に対する遺贈を含む)又は包括遺贈により財産を取得した者が制限納税義務者※6である場合においては、相続又は遺贈により取得した財産の価額から被相続人の債務で次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除します(相法13②④)。
① その財産に係る公租公課
② その財産を目的とする留置権、先取特権、質権又は抵当権等で担保される債務
③ その財産の取得、維持又は管理のために生じた債務
④ その財産に関する贈与の義務
⑤ 相続人が死亡の際この法律の施行地に営業所又は事業所を有していた場合においては、当該営業所又は事業所に係る営業上又は事業上の債務
⑥ 特別寄与者に係る課税価格に算入した特別寄与料(相法13④)※7
※1 相続人又は包括受遺者に該当する相続時精算課税の適用者を含みます(相基通13-9)。
※2 相続を放棄した者及び相続権を失った者(相続欠格事由に該当する相続人、排除された相続人)が特定遺贈により財産を取得した場合には、債務控除の適用はありませんが、その者が現実に被相続人の葬式費用を負担した場合は、その者の遺贈によって取得した財産の価額から控除しても差し支えありません。
※3 相続税法第一条の三第一項第一号又は第二号の規定に該当する者
※4 非課税財産となる墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずる財産、当該公益を目的とする事業の用に供することが確実な財産(相続税法第12条第一項第二号又は第三号)の取得、維持又は管理のために生じた債務の金額は、控除金額に算入しませんが、課税価格に算入された場合においては、債務控除できます(相法13③)。
※5 債務は、確実と認められるものに限ります(相法14)。
※6 相続税法第一条の三第一項第三号又は第四号の規定に該当する者
※7 特別寄与者が制限納税義務者に該当する場合、支払いを受けるべき特別寄与料が法第10条の規定により法施行地外にあるものとされるときは、当該特別寄与料の額は当該特別寄与者に係る相続税の課税価格に算入されないことから、相続人が支払う当該特別寄与料について、債務控除の適用はりません(相基通13-8の2)。
文責:
- 税理士 天池 健治
- 天池 健治 税理士のサイト
-
税理士 / 証券アナリスト / 宅建士 / 公認コンサルタント